ぜんそく征服ジャーナル

138号
日本のぜんそく研究の流れ(6)  (最近の日本の現状)          


■アレルギーの治療は効くのか
日本でアレルギーの研究と治療がはじまって、学問の花形のような存在になって三十数年になりますが、治療がはじまって10年以上もたてば、その治療効果も分かってくるものです。

実は十数年前から、アレルギーの治療は効果がないのではないかと、専門医のあいだでささやかれるようになり、そうこうしているうちに、開業しているお医者さんの中にも、減感作治療は効果がないから行なわないという人びとも現われ、評価がまちまちになって来ました。

そして最近では、減感作療法だけをしてもぜんそくの根本療法としての効果は余り期待できないことが分かって来たようです。

今迄、アレルギーただ一筋に研究し、治療して来た専門医は、或る意味ではガッカリし「それではぜんそくの根本療法はどうすればよいのだろう」ということになり、その結果、テオドールなどキサンチン製剤を連続内服して血液中の濃度を一定に高めてせめて発作がおこるのをおさえようという考え方が日本の主流になって来ました。それ以外に、内服よりは副作用の少ないステロイド剤やインタールなど抗アレルギー剤の吸入を連用する方法なども採用されるようになって来ました。

■減感作療法の役割と限界
実はこの30年来の減感作の治療は、「ぜんそくの原因はアレルギーだけだ。だからアレルギーさえ治せばぜんそくは治る。」という、病気の原因は一つだけという身体医学的な考え方に基づくものであったのです。

私は30年以上も昔からアレルギーだけが唯一のぜんそくの原因だと考えるのは誤りであることを知っていました。

ほこりのアレルギーがあって重症な子を親から離して入院させると発作が消えます。家からほこりを持ってこさせて、そのほこりを思いっきり舞い立たせて吸わせても、家でおこるような発作がおこらないことが分かりました。

昭和40年頃、まだ私が名大医学部講師の頃、重症難治性ぜんそくの長期入院療法を行なったことがありますが、約60名の入園児をこまかく検討してみますと、入園して重症な発作が消えたあと、入園前、減感作をしてあった子は、減感作していないまま入園した子のグループにくらべて、明らかに入園後の発作は少なかったのです。

入園して重症難治性の発作が消えたり少なくなったのは環境調整(両親離断)による心理的な効果、入園後の発作の減感作の有無による差が、減感作療法の効果だったのです。

アレルギーの治療は無効と考えるのは明らかに誤り、そうかといってアレルギーの治療さえすればすべてのぜんそくが根治すると考えるのも誤りなのです。

■まだ、喘息は分からない病気
とにかくぜんそくは、複雑な一筋縄ではどうしようもない病気です。

最近の医学の雑誌をみても、病気の基本的な仕組みは分からないということを前提にして、どんな薬で対症療法的に発作をおさえればよいかという問題が中心になり、発作をおさえる新しい薬が次々に開発されています。

アレルギー治療でぜんそくを根本的に治す話は数年前から次第に影をうすめて来てしまいました。

■総合根本療法
日本のぜんそく研究の流れと題したこのシリーズでは、総合根本療法、総合的な原因分析などぜんそくの総合医学説に基づいた久徳クリニックで行なっている方法についての研究とか治療の流れにはふれませんでした。

その理由は二つあります。一つは、ジャーナルをおよみの皆様はその内容を知ってみえるからということ。

第二の理由はぜんそくの総合医学説、総合根本療法は、第三の医学(人間形成医学)に基づいたもので、第一の医学(身体医学)に基づいた「日本のぜんそく研究の流れ」とは全く別の流れであるからです。

とにかく今、日本全体としては、またこれから根本療法を考えねばならなくなったのです。

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