ぜんそく征服ジャーナル

146号

経口的減感作療法                             



■相当に効果的な経口的減感作療法
アトピー性皮膚炎では、しばしば食物アレルギーが認められます。食物アレルギーに対しては「経口的減感作療法」という治療法があります(30号)。

ダニやホコリのアレルギーの場合は、原因物質を少量ずつ注射していく「減感作療法」を行いますが、経口的減感作療法は読んで字の如く、アレルギーの原因になっている食物を少量ずつ経口接種(食べる)することにより、普通に食べられるようにしていく治療法です。

この治療法は相当に効果がありますから、食物アレルギーに対しては必ず一度は実施してみる価値はあるのですが、最近では原因食物を一切摂取させないという「除去療法」がブームになってしまい、経口的減感作療法は、久徳クリニック以外の医療機関ではあまり実施されていないようです。

久徳クリニックでは、この経口的減感作療法を平成6年と7年の2年間に、16人の患者さんに実施しました。全員がアトピー性皮膚炎の患者さんで、食物アレルギーへの対策として、除去療法を実施していた患者さんです。

数ヶ月の治療期間で、16名中14名までの患者さんが食物除去不要になっています。

K君のケース
K君は1才6ヶ月です。離乳食を開始したころからアトピー性皮膚炎になり、近所の先生のところでラスト法で検査をしたら、牛乳、卵白、卵黄、小麦、大豆、ライ麦、大麦、オート麦、トウモロコシにアレルギーが認められました。米、豚肉、牛肉、トリ肉、そば、チーズ、犬のフケ、ダニ、ホコリは陰性でした。

この結果が出てからK君はトリ肉、牛肉、卵、牛乳、大豆、小麦は一切中止してきました。「何も食べるものがない」状況に近い食生活になってしまっていたのです。生まれた時の体重は平均を上回っていましたが、当院を受診した1才6ヶ月の時点では身長も体重も正常値下限ぎりぎりという状態でした。そしてなおかつ不幸なことには、これだけの犠牲をはらっていてもアトピーは改善せず、全身に中等度の湿疹が出ていたのです。

さっそく総合根本療法を開始し、経口的減感作療法も初診後1週間目から開始しました。経口的減感作療法は一度に複数の食品について実施することはできませんから、お母さんの希望を聞いて、まず牛乳から開始しました。

その後の経過は極めて良好であり、開始後4週目には牛乳を60cc飲めるようになり、15週後には制限なく飲めるようになりました。他の食品の経口的減感作療法も開始し、25週後には食事制限は一切必要なくなりました。身長、体重も順調に回復して、皮膚もつるつるです。26週目からアフターケアに入りました。
アフターケアに入った時点でもアレルギー検査(ラスト法)では、小麦か強強強陽性、卵白が強陽性、牛乳、卵黄、米、大豆は陽性、ダニとホコリは強強陽性でした。それでも食事制限もステロイドも必要ありませんでした。

N君のケース
N君は生後4ヶ月ごろからアトピーが出てきました。顔面全体が赤くなり、粉をふいたようにフケが落ち、所々が化膿してじくじくしています。体には直径2〜3センチのじくじくとして赤く盛り上がった湿疹が多数散在しています。頭を痒がり、ぐっすり眠ることも出来ていません。1才2ヶ月の時に当院を受診しました。

それまでかかっていた皮膚科ではアレルギーの検査は行わず、「アトピーにはよくないから」との理由で、卵と牛乳を中止していました。

総合根本療法を開始してN君のアトピーは32週後にはアフターケアに入るところまで改善しました。アレルギーについては次のように対応しました。

初診時のアレルギー検査ではダニとホコリは強強強陽性、卵白が強強陽性、牛乳、小麦、大豆、米は陰性でした。怪しい食物はとりあえずは卵白だけのようですが、中止していても湿疹は改善していませんから、本当に卵白が影響を与えているのかはっきりしません。

アレルギー検査で陰性であった牛乳は初診日以降は普通に与えました。当然ですが湿疹は悪化しませんでした。

2週間後、卵白をあたえてみたら(誘発試験)見事に湿疹は悪化しました。卵白が、N君の湿疹に影響を与えるのは確かなようです。ここまでわかればあとは簡単です。経口的減感作療法により18週後には普通に食べられるようになりました。


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