ぜんそく征服ジャーナル

169号

ハウスダストのはなし



■家屋塵(ハウスダスト)ってなに??
アレルギーの原因になっているものを抗原といいます。喘息のアレルギー抗原として最も頻度が高いのはハウスダスト(家屋塵)抗原で、全患者の約70%の原因抗原となっています。それについで花粉、真菌(カビ)、動物の毛、食品などが原因になりますが、その頻度は約10%、あるいはそれ以下です。家屋塵とは、みなさんの家庭の電気掃除機にたまるあの黒っぽいほこりのことです。

ここで素朴な疑問がわきます。なぜ家屋塵だけが、花粉やカビ、食品などに比べて、こんなに喘息の原因になりやすいのでしょうか。

たくさんの種類の家ダニを調べたところ、家屋塵と同様、抗原性が高いこと、ダニ抗原に陽性の人は家屋塵にも陽性のことが多いことなどから家屋塵の抗原性はダニそのものの抗原性なのだという考え方が、最近のアレルギー学会の流れになってきました。

■家屋塵と喘息
家屋塵が喘息のアレルギー抗原として重要であることは相当昔から知られています。1922年(大正11年)にCookeという人がその重要性を指摘しています。

アレルギーという現象が見つかったのが1800年の未から1900年にかけてですから、それから10〜20年の間に家屋塵が原因として重要なことが知られてきたことになります。

しかし、ここでまた問題が起こってきました。花粉だとか、カビや動物の毛ならすぐ分かりますが、家屋塵といわれたって、その抗原性は家屋塵の中の「なにか?」ということが第一の疑問です。第二の疑問は、なぜ家屋塵だけが、カピや花粉に比べて何倍も喘息になりやすいのかということです。つまり世界に現存する「物質」のうち、家屋塵が他を引き抜いて断然トップなのです。競争でいえば、カビや花粉が100〜200メートル走るうちに、家屋塵は700〜800メートル走ってしまうというくらいの差があるのです。

さて前述したように、ダニ=家屋塵という考え方が最近支配的となってきましたが、ダニ=家屋塵という考え方は厳密にいえば誤りだと私は思っています。医学というのは、いろいろな誤り、試行錯誤を繰り返しながら発達してゆくものですから…。

なぜ、ダニ=家屋塵と考えるのが誤りなのか、その理由については、あとで説明しますが、ここでは誰でも分かる簡単な説明をします。ダニ=家屋塵という場合、ダニという虫の体が家屋塵と同じ抗原性を持っているということですが、世界中の動物、植物で、家屋塵と同じ抗原性を持っている動物や植物はあるはずがないのです。

それでは家屋塵の「抗原性」とはいったい何者なのでしょうか。家屋塵とは何物か?

まず誰でも単純に考えつくのは、家屋塵にはあらゆる物質が含まれている、だからそれらの抗原性をみな含んでいるから抗原性が高くなるのだろうということです。Van Genusという人はこの立場から検討し、家屋塵になる材料をみな混合しても、家屋塵の抗原性が生じないことを報告しました。1956年のことです。家屋塵の成分1つ1つを単にミックスしても、家屋塵と同じ抗原性は生じないのです。同じ年、Follensbyは家屋塵の中に含まれている細菌やダニが、ほこりを餌として分解し、その分解の過程で家産塵の抗原性が作られると述べています。

報告者が誰かははっきりしませんが、同じ家屋塵といっても、新しい家屋塵は抗原性が低く、古いほこりほど抗原性が高くなる。しかし、極端に古いほこりはまた抗原性がなくなってしまうという報告もあります。ほこりの抗原性の怪といえます。

ダ二=家屋塵?
それでは、正確には、どのように考えたらよいのでしょうか。

家のほこりにはいろいろな物が含まれています。しかしこのいろいろな物の混合物は、ほこりの抗原性は持っていません。またこのほこりは、いつまでもこの状態のまま残っているわけではなく、「何物か」が分解し、最後には土のような、サラサラした古いほこりになって、土にもどってしまいます。この新しいほこり(抗原性はない)を分解し、土にしてしまう役割を担っているのが、真菌(カビ)、細菌やダニなのです。

カビやダニやある種の細菌はほこりを餌として増殖します。つまりこの時、ほこりは栄養として分解され、その結果生じたものが抗原性の高い家屋塵なのです。さらにこのほこりが最後まで分解されつくし古いほこりになると抗原性はなくなり、喘息のほこりアレルギーの原因にはならなくなってしまうのです。

ダニ=家屋塵と考えられているのは実は誤りで、ダニの消化管の中の消化された家庭塵や糞がほこりの抗原性なのです。カビで分解されたほこりも抗原性の強いほこりになります。

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