よくある質問

■気管支喘息

【Q】喘息とはどんな病気ですか?治療法も併せて教えてください。

ぜん息の歴史が相当に古いことをご存知でしょうか。ぜん息は医聖と称されたヒポクラテスが活躍していたギリシア時代から、記録に残されています。

これだけ歴史が古いということは、ぜん息を撲滅できていないことを意味しているのですが、事実、今でもぜん息の患者さんはけっして少なくありません。

気管支喘息の有病率は、調査によって多少異なるのですが大体4〜7%と言われています。
軽症を含めてですが、それでも100人中、およそ4〜7人の割合でぜん息の患者さんがいるのですから、少ない人数とはいえません。

しかも、ぜん息による死亡者は平成19年で年間2500人ほどを数えます。同年の交通事故死亡者が5587人(警察庁発表の事故後24時間以内の死亡者数)ですから、交通事故の死亡者の約半数の方がぜん息で亡くなっているのです。

小児ぜん息は90%が6歳までに発症します。3歳までが発症のピークです。低年齢の発症が多く、3歳過ぎの患者さんの8割には、ダニのアレルギーが認められます。

小児ぜん息はおよそ半分が大人になるまでに自然治癒します。この数字は報告する医師により多少差があり、30%は自然治癒するという医師がいる一方で、70%という数学をあげる医師もいます。
平均すれば、約半分は大人になるまでに自然に治ると考えてさしつかえないと思います。

一方、典型的な成人発症型のぜん息は、発症のピークが40代で、以下、30代、50代の順になっています。ダニアレルギーの陽性率は2割程度と低く、成人のぜん息は自然治癒しにくいのが一つの特徴です。

小児ぜん息と成人のぜん息とは基本的には同じ病気です。
ただし、現実には小児ぜん息は主に小児科で、成人のぜん息は内科で診察されることが多く、アレルギー陽性率とか、自然治癒傾向、死亡率などの点で差異があるため、別々の病気と考えられることがありますが、基本的には、同じ病気であると考えていいと思います。

■「わからない病気」と言われているぜん息
ぜん息の初期症状はカゼによく似ています。鼻はムズムズして、クシャミ、鼻水が出ます。発作性のセキ、声が枯れるなどの喉の異常も現れます。春と秋に現れることが多く、これらの時期に発熱がないのに、このような鼻や喉の異常が続くようでしたら、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。
ぜん息の原因は、心と体とアレルギーの3つの要素が絡んでいると私たちは考えています。ヒポクラテスは「ぜん息になったら怒りをしずめよ」と言っていますが、これはぜん息にストレスが関係していることを見抜いていたと思われる事実です。

長い間、ぜん息は「原因不明の疾患」とされてきましたが、日本では昭和30年代後半から、アレルギーの研究が小児科におけるぜん息研究の花形部門となり、抗アレルギー剤などの開発により、ぜん息の根本的な治療は可能になったといわれました。小児科の医師の中に、いまだにぜん息はアレルギーだから、アレルギーの治療をすればよいと主張する人が多いのはそのためです。

しかし、昭和60年、あるアレルギー専門の先生が衝撃的なデータを発表しました。それによると、180人の子どものぜん息患者について調査したところ、平均12・3年かかって39%の子どもが治っているというものでした。要するにアレルギーの治療をしても自然治癒よりも治癒率を高めることができなかったという事実が判明したのです。

一方、大人のぜん息はいまだに「原因不明の病気」とされています。平成18年の厚生省のガイドラインでも「ぜん息を治すのは困難な現状である」と記載されています。そしてステロイドによる吸入療法により発作をコントロールする治療が推奨されています。確かにぜん息を治すことを考えないのであれば、この治療法が最善といえます。

■「自分で直す」意識を持とう
現在のわが国では大人のぜん息は「原因不明で治らないが、気道には慢性の炎症があるので」との前提で根本的に治すことはあきらめ、とりあえず正常な日常生活が営め、ぜん息で死亡することをさけるために、吸入のステロイド剤でコントロールすることが治療の中心になっています。子どもの場合はステロイド剤の使用をためらう小児科医もいますが、すでに説明したようにアレルギー中心の治療も行き詰まっているのが現状です。

ぜん息は単なる気管支の病気ではありません。そこには心理的要因や生理的要因に由来する自律神経〜副腎機能の乱れやすさが大きく影響しているのです。しかし、そこまでをみつめる視点が現在のぜん息治療には欠けているのです。

昔から、戦争の出征中はぜん息発作が止まるといわれてきました。小児ぜん息も、昭和30年代までは小学校に入学すれば「自然に治ってしまう」例が多かったのです。「生きるか死ぬかで必死なときや、活動的でやる気になっているときには、ぜん息発作は起こりにくい」のです。反対にいえば、ぜん息は心身の活性が落ち込んだときに起こりやすく、事実、定年退職がきっかけでぜん息になるとか、子育てが終わって「生活のはり」をなくしてから発症するなどの例もあります。
このことは、ぜん息治療の大きなヒントになります。ぜん息を単なるアレルギー性の病気だとか、気道の慢性炎症による病気だとかのように「単一の原因」により引き起こされる病気とは考えず、心理・身体面までを含めた「生活習慣病」ととらえて総合的な対策を考えることが必要なのです。患者さん自身の生活全体を兄つめ直すことによって、ぜん息の治療と予防は十分可能です。その意識を持って専門医のアドバイスを守ることがぜん息治療には欠かせないのです。〈談〉

■喘息の治療の基本
リンク先 : 日本アレルギー学会 (日本アレルギー学会・ガイドラインより)


喘息は、遺伝因子と環境因子が絡んだ病因が不明な病気です。喘息体質と一括されていますが、いまだ根本的に治癒させる治療法はありません。現在、最善の治療は、気管支の炎症を起こして気管支を収縮させる原因やアレルゲンを除去すること、薬物療法により気管支の炎症を抑えて気管支を拡張し、気流制限と過敏性を改善して日常生活と肺機能を正常化し、患者のQOLを高めることです。一方で、この体質を変えようとする治療法も昔から試みられてきました。その一つがアレルギー性喘息に対する減感作療法です。アレルゲンを定期的に患者に注射し、患者のアレルゲンに対する反応を変調させること(体に一種の慣れを作る)により喘息を改善するという治療法ですが、すべての患者に有効なわけではありません。最近、人の全遺伝子の解読が終わり、その塩基配列が発表されたところですが、多くの遺伝子が関係している喘息体質の実態が明らかになれば発病を予防したり、体質そのものを無くする治療法が生まれるかもしれません。



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