よくある質問

■アトピー性皮膚炎

【Q】アトピーってどういう意味ですか?

「アトピー=アレルギー」と考えられがちですが、決してそうではありません。アトピーには「心と体の影響を受けるアレルギー」という面もあるのです。そしてアトピーについて理解するためには、免疫についての基礎的な知識も必要になります。
ここでは久徳重和著「ぜんそくは自分で治せる」からの引用を掲載します。

久徳重和著「ぜんそくは自分で治せる」第二章98ページより

「アトピー」って何?

ここでアレルギーとアトピーについての知識を整理しておきましょう。医学部の講義のような話になりますが、少々お付き合いください。
1796年にジェンナーが「牛の天然痘(牛痘)を人に感染させて人の天然痘を予防」する種痘(しゅとう)を成功させました。これが近代免疫学の始まりとされています。その後も免疫の研究は進み、1890年にはベーリングと北里柴三郎が「ジフテリアや破傷風の毒素を動物に注射すると血清中に抗毒素が産生される」ことを発見し「抗毒素血清療法」を開発しました。
1902年にフランスのリシェとポワチエという研究者は「犬に致死量以下のイソギンチャク毒素を注射すると体調不良になるがその後回復する。その犬に最初の注射から数週間後にごく少量の同じ毒素を注射すると、数分でショックを起こして死亡する」ことを発見し、この反応を「アナフィラキシー」と名づけました。「無防備」と言う意味で、語源は「アナ(無or反)+フィラキシス(防御)」に由来します。このような研究を通して20世紀初頭には、種痘のような体を守る免疫反応(免疫)と、アナフィラキシーのように体に害をなす免疫反応(過敏症)があることがわかってきました。
1906年にピルケという小児科医が、この「免疫」と「過敏症」を引き起こす体の働きを「アレルギー」と呼ぶことを提唱しました。「変わった反応」という意味であり、語源はギリシャ語の「アロス(変わった)+エルゴ(働き)」に由来します。ピルケは免疫と過敏症とは基本的に同じ仕組みによって引き起こされると考え、両者をまとめて「アレルギー」と呼んだのですが、その後言葉の使われ方が変わってきて、現在ではアレルギーといえば「体に害をなす過敏症」のみをさすようになっています。
その後、1923年に米国のコカとクークは、人間には「奇妙な病気(Strange Disease)」があることを報告しました。それはピルケが報告したアレルギーのように、「前もって他の生き物の血清とか毒素などを注射する」という「前処置」を行わなくても、ひとりでに症状が現れてくるという、「場違いなアレルギー」でした。この現象にコカは「アトピー」という名称を付けました。語源は「ア(無or反)+トピア(場所)」に由来しています。
コカらは、アトピーの概念を次のように定義しています。

@本人および家族に気管支喘息、枯草熱、アレルギー性鼻炎を認める。
Aこの素因は遺伝する。
Bこの家系の人は食物や吸入抗原に対して高度の過敏性を呈しやすく、血中にアトピー抗体(レアギン抗体)を認め、血中好酸球が増加する。
C種々のストレスにより、免疫・自律神経・内分泌の異常を生じやすい。

その後1933年にワイスとシュルツベルガーという研究者が、アトピー家素因を持つ人には独特の皮膚病変が認められることを指摘し、その皮膚病変に対して「アトピー性皮膚炎」という病名を提唱しました。
筆者らはアトピー性疾患については、「心と体とアレルギーの三位一体の疾患」と考えています。1923年にコカらが提唱したアトピーの定義の中にも、「種々のストレスも影響する」という多因子性疾患の概念はすでに含まれていたのです。
しかし現在では「アトピー=アレルギー」と決めつけてしまって「アトピー性疾患=アレルギーが原因」という間違った考え方が一般的になってしまいました。なぜそうなってしまったのかについては第三章で詳しくお話します。



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