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■【心身症・神経症】

心身症・神経症には極めて多くの疾患があります。個々の疾患に対しての解説は到底困難ですから、このページでは心身症・神経症に対する久徳クリニックの考え方と治療方針の基本的な部分について掲載します。

日本心身医学会は 心身症 を次のように定義しています。
「心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病など、他の精神障害にともなう身体症状は除外する」。
なかなか分かりにくい表現ですが、あえてまとめてみれば、心身症とは「心が(ストレスが)原因で『体』に症状(異常)が現れる病気」であり、神経症は「心が(ストレスが)原因で主に『情緒・行動』に症状(異常)が現れる病気」と考えればよいといえます。

心身症と神経症の区分は現在でもかなり混乱しています。過去においてはもっと混乱していました。たとえば昭和57年の羽田沖日航機墜落事件では、逆噴射した機長が「心身症で過去に医療機関を受診していた」と報道され、心身症という言葉が広く知られるようになりました(その後の精神鑑定で機長は精神疾患であったと診断されています)。
逆噴射という「行動の異常」が起きたのですから、その原因を心身症に求めるのは無理があります。この誤解に基づく報道のおかげで心身症という言葉自体は広く知られるようになりましたが、精神疾患(統合失調症や躁うつ病などのいわゆる精神病)の仲間のようなイメージも作られてしまいました。

神経症という病名は現在ではあまり使われなくなっています。過去には自律神経失調症とか神経衰弱、抑うつ神経症、心気神経症、心臓神経症、ヒステリーなどの病名も使われていましたが、これらの病名の「定義」は専門の医師の間でも統一されていない曖昧なものでした。この曖昧さを避けるために、現在では米国精神医学会のDSM分類か、WHOのICD-10という診断基準によって病名をつけることが一般的になってきました。

最近よく耳にする境界性人格障害とか解離性障害、社会不安障害、行為障害、パニック障害、PTSDなどの病名はこれらの分類診断基準による病名です。DSMやICDは「一定の症状が認められたら決められた病名をつける」という「病名統一システム」に過ぎませんから、病気の原因や治療法まで明らかになる訳ではありません。ですからこれらの基準を「症状をまとめてレッテルを貼っただけ」と批判する意見もあります。
確かにこの二つの診断基準を用いても、神経症と精神疾患の中間のような例や診断をつけきれない例は存在しますし、診断がつかない例も無いことはありません。同一の症状でも病名が異なるという不統一な部分も残ってはいますが、それでも病名の定義の曖昧さを排除して診断意見の統一性を高めたという点では優れたシステムであるといえます。

病名はともかくとして、神経症と精神疾患の病態の基本的な違いを整理しておくことも全体の理解を深めるためには大切です。
両者の典型例(パニック障害や境界性障害などと統合失調症や躁うつ病など)を中心にして比較した場合、違いはかなり分かりやすくなります。
心身症や神経症では主として「日常的な人間関係の軋轢から発生するストレス」が原因で症状が引き起こされます。それに対して精神疾患では、人間関係の軋轢がなくても症状は現れます。人間関係の軋轢が発症のきっかけになったり症状の変動に影響することはありますが、人間関係の軋轢によるストレスが精神疾患の「原因」になるとまでは言い切れません。精神疾患では遺伝も関与して患者さん自信に備わった素因(内因といいます)が疾患の主要な原因と考えられています。ですから内因性精神病とか内因性うつ病という病名も使われています。

基本的に精神疾患は脳という臓器そのものの異常とみなす考え方が現在の精神医学の主流です。脳の内因的な異常により、ドーパミンとかセロトニン、ノルアドレナリンなどの脳内化学伝達物質の乱れや海馬や扁桃体と呼ばれる部分の細胞の変化が原因で「心の症状」が現われると考えられています。「心の病」というよりも、脳という臓器そのものの異常により症状が現われるのであり、高血圧や糖尿病と同じような「身体疾患」に類する疾患と考えられているのです。
ですから精神科による精神疾患の治療は、カウンセリングや精神分析よりも、薬で症状をコントロールすることが中心になります。診察で「心の症状」を診てもらい、その症状の原因である脳の働きの異常を薬で改善させることが精神疾患の治療の基本パターンです。「話よりも薬」が基本パターンということになります。

このパターンは精神科の医師が手を抜いているということではありません。精神疾患では話をすると帰って悪化する患者さんや理路整然と話を理解することが困難な患者さんも多いので薬物療法が第一選択になるのは当然なのです。
しかし、心身症や神経症の患者さんにこのパターンの治療を行うのは好ましくないこともあります。危険ではないにしろ的外れになるおそれがあるからです。

心療内科の治療は「日常的な人間関係の中の軋轢」に注目し改善させることにより症状の軽快を図ります(ここでいう「日常的」とは、不幸で不満であっても、生きている限り誰にでも起こりうるような事柄を指します。生命の危機に長期間さらされるとか、虐待、犯罪行為のような「非日常的」なストレスの場合は話が異なります)。
治療では薬よりもカウンセリングや心理分析が主になります。心療内科の「治療の三本柱」は「交流分析と自律訓練法と行動療法」です。患者さんの生きる姿勢を分析し、ストレスをリラクゼーションでほぐし、好ましい生きる姿勢を新たに身につけることを目指します。「生きる姿勢を調整する」治療が心療内科の治療といえます。

ところで、同じ程度の「日常的な人間関係の軋轢」でも全く心理的な影響を受けない人もいますし、心身症・神経症を発症する人もいます。また、その軋轢を「人生の肥」にして更に成長してしまう、打たれ強くたくましい人が存在するのも事実です。私たちはこの性格の差というか「ばらつき」の存在に注目しています。
 
性格や体質には生まれつき備わっている遺伝的な部分と生まれた後で作られる後天的な部分とがあります。体の病気でも高脂血症や高血圧、糖尿病などのほとんどは後天的な生活習慣が原因で発症します。ですからこれらの疾患は生活習慣病と呼ばれています。
心身症や神経症を生み出す性格のばらつきにも、この後天的な生活習慣が影響しています。心の面の問題ですから、単に生活習慣というよりは「心理面の生活習慣」といった方が適切かもしれません。私たちは、便宜上「思考習慣」といっています。後天的な性格は過去の思考習慣が固定したものであり、「過去の思考習慣の結晶体」なのです。

例えば子供のころからの習慣として「あいさつをしっかりしなさい」とか「バスや電車の中ではお年寄りに席を譲りなさい」と教えられ実行してきた子供は「あいさつがしっかりできてお年寄りに席を譲れる」性格の青年に育ちます。「筋とけじめを尊び、馬鹿にされても反論もできないような人間にはなるな、しかし卑怯なことはするな、そして誰に対しても優しさを心掛けろ」と薫陶を受けた子供は正義感のある優しい青年に育ちます。

思考は認知と評価と判断に始まります。判断により感情が発生し欲求も発生します。そして行動に移す場合には決断が追加されて行動に結びつきます。子供のころからの成長の過程でこのプロセスのどこかに好ましくない習慣が形作られた時に心身症や神経症になりうる「結晶体=性格」ができたということになります。そして何らかの日常的な人間関係の軋轢をきっかけとして心身症や神経症が発症すると私たちは考えています。

つきつめていけば、子供のころからの毎日の思考習慣が性格を作りあげ、人生をも作っていく(=人間形成)といえるのです。この成長の過程の中で心身症や神経症を生み出す「結晶体」も作られてしまう場合があるのです。私たちは心身症・神経症の治療はこの「結晶体」を健全な質のものに成長〜変容させる作業だと考えています。この作業により、「年齢相応にたくましく成長」すれば症状は自然に消えていきます。この点では喘息の治療と極めて似ています。
人間形成医学はこの「結晶体」が作られる過程を解明した医学といえます。ですから治療よりも予防医学としても極めて有用です。子供を喘息・アトピー性皮膚炎・不登校・引きこもり・心身症・神経症にしたくなければどのように育てればよいのかということもほぼ解明できているからです。

「性格は変わらない」という人もいますが私たちは後天的な部分は変わりうると考えています。「目からうろこが落ちた」とか「人が変わったようだ」とか「あの人も大人になったね」という表現があるように性格は変わりうるのです。遺伝的に備わった性格までを変えることは困難ですが、子供のころからの人間形成の過程で作られた後天的な性格は努力によって変えていくことは十分に可能です。

ですから私たちはたとえば不登校であれば「学校へ行く事を目的とした治療」は行わずに「年齢相応にたくましい少年・青年」に成長させる治療を行います。年齢相応のたくましさが伸びれば自然に登校できるようになります。これが人間形成医学的な治療方針といえます。
心身症・神経症でもこの基本は同じです。目先の症状に対しては薬物療法も行いますが、治療の中心は「日常的な人間関係の軋轢」に翻弄されない、たくましい「思考習慣」への変容を目指す作業になります。思考習慣が幾多の過程を経て、「今は、これで良し」に始まり「困っても悩まない」に変容した時に、心身症・神経症は根治に向けて大きく変わり始めます。





【関連書籍】

「人間形成障害病」久徳重盛著(健友館刊・税込1330円)
激増する「病める人間形成の子供や大人」たちを人間形成医学の立場から解説し、問題への理解を深め、根本的解決をめざすための一冊。



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